2021.6.20 中部山岳国立公園栂池自然園
予報は晴れ。梅雨の合間の晴天。たぶん人は多いだろう。栂池自然園へはゴンドラとロープウェイを乗り継いで上がる。乗車時間約30分で標高1829mの自然園駅に到着。予報に反して1000m付近からガスっていてゴンドラから山の上の様子は見えなかった。ロープウェイに乗ると、雲が晴れて、青空に映えた白馬岳が見えた。ロープウェイは20分間隔の運行で、コロナ禍の人数制限もされていたが、一回に乗れないような混雑はなかった。
自然園内は整備された木道が合計5km以上続いている。園内1週のコースタイムは3時間半~4時間。ビジターセンターを過ぎると「ミズバショウ湿原」が手前に広がっている。水芭蕉は見頃を迎えていて緑の中に点々と白い花が映えている。時刻は既に10時。カメラを構えた人が木道上にたくさん見える。奥にはまだ雪をまとった白馬岳や杓子岳が圧倒的なスケールで見下ろしていた。今年の2月にも同じ場所、栂池自然園の入り口まで来たことがあった。山の容や地形は変わらないが、その時と同じところにいるとは思えない。季節が変わると色が変わる。白銀の世界は神秘性があるが、緑の世界は清々しくて優しい。
「ミズバショウ湿原」を過ぎると「ワタスゲ湿原」「浮島湿原」と続いていて、途中ルートは2股になる。ワタスゲ湿原のあたりからは雪が残っていて、滑らないように気をつけて歩く。特にブーツのソールに雪が付いた状態で木道に乗るとよく滑る。「浮島湿原」から「展望湿原」までのルートは半時計周りにとった。「モウセン池」で少しだけ休憩してコーヒーを飲んだ。
梅雨の合間の晴れた日曜日とあって、たくさんの人がいた。展望湿原のあたりまで行くと、ビジターセンターからは150m程標高が上がっていて、赤い屋根が随分遠くに見下ろせた。一番奥の展望台を過ぎ、ガイドに「急な階段」とあるヤセ尾根は確かに急だったが、雪は残っていなかった。念のためにチェーンスパイクが荷物の中に入っているが出番はなかった。「浮島湿原」と「ワタスゲ湿原」の間に楠川という川が流れている。水に手を入れてみると痛いくらいに冷たかった。
栂池自然園や、その上の天狗原の平坦な地形は、白馬乗鞍岳の火山活動から形成されたらしいが、自分はどうも山上の台地という場所に惹かれやすく、今回もとても楽しかった。地形と密接に関わった植生を考えるのも面白い。平地では人間の生活が大部分の景色を作っているが、水芭蕉の群生をはじめ、自然の作る景色は本当に綺麗だ。「いちばん美しいところ」というキャッチフレーズが栂池自然園についているが、本当に美しいと思う。