2021.9 白馬岳
on the trail⑤の続編となるルートで、今回は白馬岳山頂まで。コースタイムは往復12時間と、なかなかハードです。下りの最終ロープウェイ(栂池自然園駅発)が16:40なので、間に合わないようなら途中までで折り返す。登山はなんといっても下山が最優先。しかしとりあえず11:00までは、行けるとこまで行ってみよう、という計画。
栂池山荘に前泊し、早朝5:20に登山口を出発。5時丁度にはスタートの準備が出来ていたが、まだ外は完全な闇で、明るくなるのを少し待った。日の出前から歩き始めるのはかなり久しぶり。体調は悪くないが、かなり眠かった。天狗原に向けて登っていると、雲海の向こうから朝日が出てきた。山の景色はどれも素晴らしいが、一番凄いのが朝一番に現れる。日の出は美しいのと同時に、「有難い」と感じる。日が差して来ると目が覚めてきて身体が少しずつ楽になる。
今回はとにかく立ち止まる余裕がない。天狗原も白馬乗鞍岳山頂も、歩きながら景色を観る。天狗原は朝焼けしていて、紅葉が最高に美しく、贅沢な朝だった。今回の天候は文句無しの快晴だ。
白馬大池の小屋前でお茶を飲んで、甘納豆を食べた。ゆっくりするよりも、少しでも時間の余裕を作りたい。補給を終えたらすぐに出発。ここから先は初めて歩くルートになる。
高度が上がるごとに、大池の全体が良く見えた。朝日で水面が輝いている。青空で風も無く、本当に歩きやすい。今日は大当たりの一日だ。登山者は意外と少ない。
「タフめの山行あるある」なのかもしれないが、途中の記憶があまり無い。ポイントごとに何かエピソードを書けたら良いのだが、いざ振り返ると何も出てこない。足裏のソールが捉える感触と、自分の身体とのちょっとした対話、そういうものばかり思い出す。ただ、稜線から見える景色は東側が見事な雲海に覆われていて、それは忘れようもない。雲海の様子は午後まで変わらなかった。長い稜線歩きのあいだ、ずっと雲海を観ながら歩く事ができた。
小蓮華山頂と三国境でも同じように給水を取って、またひたすら歩いた。白馬岳山頂には10:06に着いた。なんとか目標は果たせた。山頂付近では時折突風がうなりをあげて吹いたが、常時ほぼ無風。山頂ではチョコレートを食べて、白湯を飲んだ。入念に脚のストレッチをした。バテたという感覚ではないが、疲労は確実に脚に溜まっている。まだ同じだけの距離を戻らなくてはならない。
下山は特に気持ちが良かった。山頂を踏めた達成感と、なだらかな稜線歩き。正午直前まで青空が広がっていて、そのあとは西側から上がってきたガスに埋もれた。ガスが出るとライチョウも出て、つがいを目の前で見ることが出来た。
下山後半になるとさすがに脚が疲れてきた。急ぐ必要はもうなかったが、想像以上にペースが落ちていないか、時々確認した。白馬乗鞍岳付近ではホシガラスを見た。ナッツを食べ続け、たまに立ち止まって白湯かお茶を飲んだ。天狗原まで来ると人が少しいた。稜線ではほとんど人には合わなかったので、なんだかほっとした。15:02、栂池ビジターセンターに到着。達成感のある山旅だった。まさに紅葉はピーク、栂池はテレビでも紹介されていて、にぎわっている。
白馬での生活を始めてもうすぐ1年になる。1年が過ぎるまでに白馬岳の山頂を踏んでおきたかったので、とても満足な山行になった。さて次はどこの山にどんなルートで行けるでしょうか。