「HOW TO XV」の動画紹介、今回は『FIRST AID FOR THE MOUNTAIN』山でのファーストエイドについてです。ファーストエイドの技術は国や環境により幾つかの方法があります。「HOW TO XV」の中でも本格的なトレーニングをプロから受けることを推奨しています。あくまでも個人のライダーとしてプロのスノーボーダーが雪山でどんな心得を持っているのか、そういう視点であってもとても興味深いと思います。それでは動画を見てみましょう!
動画の解説です。
approach victim while spotting for surrounding dangers
(周囲の危険を確認しながら負傷者に近づく)
ファーストエイドの基本は常に二次災害への警戒です。救助者が負傷者にならないように充分まわりを注意します。
Mark the scene with board or skis
(ボードやスキーを目印に立てる)
ゲレンデでの滑走も同じように、上から滑ってくるライダーに注意をするために板を立てます。
ここから、ファーストエイドの「ABCDE」を紹介しています。これは是非覚えておきたいですね。
A:Airway(気道確保)
Clear mouth and throat area
(口や喉のまわりを綺麗にする)
首を固定して顎を持ち上げる(背中や脊髄を怪我している場合は患者を動かさない)
鼻や口が雪で埋まってしまっている場合、まずそれを取り除き、負傷者を気道確保の体勢にとります。
B:Breathing(呼吸確認)
Establish if the victim is breathing
(負傷者が呼吸しているかどうか確認する)
Feel, listen and look
(手をかざして感じる、音を聞く、目で見る)
Breathing can show as mist on goggles
(呼吸していればゴーグルを口もとにかざすと曇りが見れる)
患者が呼吸をしていれば患者の体勢をリカバリーポジションへと変える。
動画のように負傷者の身体を横に向け上になった脚の膝を曲げる。(これも首や脊髄の怪我でない時に限る)
C:Circulation (心肺蘇生)
Feel for a pulse in the neck or wrist
(首や手首で脈をみる)
1-2 pushes per second, for 30 seconds
Breaths – depends on your training, either none, or 2 breaths for every 30 pushes
(1秒間に1~2回、30秒間の心臓マッサージ、トレーニングによって異なるが、呼吸を行わないか、30回圧迫ごとに2回呼吸を行います)
Expose chest as much as possible
(胸部をできるだけ露出させる)
Don’t practice real compressions on human, only practice hand placement in this case
(人間に実際の圧迫を練習しない、この場合、手の配置のみを練習する)
D:Disability(障害)
Abnormal pulse = Possible severe injury
(異常な脈拍=重傷の可能性)
Pain,swelling,nausea,breathlessness,thirst,unconsciousness…
All signs of possible internal bleeding
(痛み、腫れ、吐き気、息切れ、喉の渇き、意識不明…、は内出血の可能性のある兆候です)
Sample case: broken femur(症例:大腿骨の骨折)
Apply pressure at artery to reduce bleeding
(出血を減らすために動脈へ圧力をかける)
If you leave a tourniquet for too long the victim lose their leg
(止血が遅れると負傷者は脚を失います)
Apply bandaging if bleeding is external
(出血が外部の場合は包帯を使う)
Call the rescue services
(レスキューを呼ぶ)
動脈の損傷は大出血を起こし、止血がとても大事です。動画のように止血帯やベルトを使って止血をします。
Sample case: leg fracture(症例:脚の骨折)
A sam splint is a useful addition to your backpack
(サムスプリントをバックパックに入れておくとよい)
ストックやプローブも固定に使えますが、それぞれに役割もあるのでサムスプリント(簡易ギブス)を持っておくのがやはり良いようです。
E:exposure (暴露)
Protect victim from cold and wind
(負傷者を冷気と風から守る)
Use whatever you have to insulate
(何でも使って保温する)
An emergency blanket is a great thing to have with you
(エマージェンシーブランケットはとても役に立つ)
Victims with severe hypothermia must be warmed gradually
(重度の低体温症の患者は徐々に温めなければなりません)
Consider building a shelter if rescue won’t be quick
(レスキューの到着に時間がかかる場合はシェルターを作ることを考える)
負傷者を低体温症から守るため、あるものを何でも使って保温します。震えのある者は軽度の低体温症ですが、震えのない者は重度の低体温症です。重度の低体温症になると急に温めることは危険で、ゆっくりと温めなければなりません。
Prepare for heli-rescue(ヘリ救助の準備)
Use your board or skis to falatten a 6×6m landing area
(6×6mの着陸エリアをスキーやスノーボードを使って平らにする)
Signal for help with a ‘Y’
(Yの字を作って救助要請のサインを作る)
KEY POINTS
-Alert rescue services
-Work through the 5-points
A:Airway
B:Breathing
C:Circulation
D:Disability
E:Exposure
-Get first aid training from a professional
以上、まとめです。
雪山に限らず、どこかで倒れている人を見かけても、「ABCDE」を思い出せると良いですね。まわりを確認して、まずは気道確保。食べ物・嘔吐物・雪、そういった物が鼻や口を塞いでいれば綺麗にする。顎を上げて気道を確保する。そして呼吸の確認、脈の確認、脈がなければ心臓マッサージ。怪我の手当はそれからで、最後に負傷者を寒さから守ってあげること。細かな手順や技術など準備できていればよいものはいくらでもありますが、流れは頭に入れておき、いつも確認できていると良いでしょう。救助を山でむやみに呼ぶ事は避けたいですが、レスキュー要請の連絡先が電話に入っているかどうかは確認しておく方がよいかもしれません。
今シーズンはたくさんの雪が降っています。皆さんも安全の知識をしっかり身に着けてスノーシーズンを楽しみましょう!