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2021.8 白馬乗鞍岳

ここのところほとんど山へ行けておらず、自分の体力がどうなっているのかすら掴めていないとあって、今回は散策程度に登山のリハビリをすることが目標。身体がキツかったり、天候が悪ければ、乗鞍岳手前の天狗原までの往復でもかまわない。いずれにしても午後に予定があるから、10時が折り返しのタイミングだった。時間内で行けるとこまで行こう、という計画。

7時に始発のゴンドラに乗った。前回と同じくゴンドラからロープウェイと乗り継いで、栂池自然園に到着。麓スタート組としては一番乗りで、先行者はほとんどいない。熊がこわかったので音楽をかけて歩き、見通しの悪いカーブでは大きな音で手を叩く。朝露で岩は濡れていて滑らないように気をつける。

歩いているとだんだんと気持ち良くなってきた。振り返ると夏の青空と雨飾方面の山に薄く雲海がかかっているのが見えた。山荘スタート組のパーティがパラパラと前に見え始める。天狗原までのCTは約1時間。そうこうしている間に木道に出て、緑の湿原が現れた。少しガスが出ていたけど見事な湿原だった。

本当を言えば、今回は天狗原で折り返そうと思っていた。しかし案外というべきか、トレーニング不足の割に体調はそれほど悪くない。早くに天狗原に着いてしまい、まだ歩けるし、歩きたい。そこで乗鞍岳まで行くことを考えてみた。問題は自分がランニングシューズであることと、その先に雪がある可能性があることだった。時間には充分余裕があったのでとりあえず雪のところまで行ってみて、そこで判断しようと思った。

木道をぬけるとすぐに岩が多くなった。窪みは泥濘というよりも水たまりだった。早くもランニングシューズには分が悪い。濡れないように気を付けて歩いた。岩の大きさが身体ほどのものになり、斜面も急になった。岩の隙間に落ちたら上がってくるのが大変そうだし、怪我をする。こういうルートは久しぶりだ。

登っていくと右手側の上部に大きな雪の斜面が見え始める。歩きにくい岩場が途切れて雪渓に出た。さていよいよ今日はここまでかと思っていたが、近づいてみると上部からロープが垂れていて、雪質は締まっている。踏み痕が階段状になっていて、距離はせいぜい数十メートル。時間にはまだまだ余裕があった。これは登るしかない。チェーンもアイゼンもなしのランニングシューズで雪渓を登るのは基本的にNGだと思うが、そこは確実な自己責任のもと決行するしかない。もちろん下りのことも計算する。このコンディションなら下りもいける、という事で、時間をかけずさっさと通過する。雪渓のあとさらに急騰があり、登山道がフラットになったらもうすぐ白馬乗鞍岳の山頂だ。ハイマツ帯まで来たのはずいぶん久しぶりな気がした。標高2436m、白馬乗鞍岳山頂着。大きなケルンは積雪期にはほとんど埋もれてしまうのか。

白馬乗鞍岳ケルン

リハビリ登山の割に体調は良好。乗鞍岳山頂を踏んでもまだ時間に余裕はあった。乗鞍岳山頂はガスっていた。その先の白馬大池がせめて見えるところまで行こう。なだらかに下ると、大池はやがて見えてきた。足場は意外と悪い。ここはアップダウンこそないものの結構注意が必要な場所だ。大池の水面まで20mくらい高さがある。歩いているとガスが晴れて青空と真っ青な大池の湖水が見えた。せっかくなので白馬大池山荘まで歩いて、ベンチでおにぎりを食べ、そこで引き返すことにした。

乗鞍岳までの登り返しの途中、自分の前を10名くらいの大きなパーティが歩いていた。さらにその前に2名の登山者がいた。その前を1羽のライチョウがぴょこぴょこと歩いていた。ライチョウが大人数の人間を連れて、先導役を引きうけていた。なんという可愛い光景だろう。しばらくゆっくりとライチョウ登山隊としてパーティに参加したあと、下りの雪渓もクリアして無事下山。3000mが近くなると時々空気の薄さを感じることがある。今回のルートではまだそれを感じなかった。おそらくそれは個人差もあるのだろうけど、自分の場合3000m(丁度付近)がラインらしい。大池山荘の先には小蓮華山(2763m)、そして白馬岳(2932m)がある。次回はそちらを計画中。

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